次への糧になる

新しい月を迎えて

202305pct01 新緑の美しい季節となりました。連休後の保育室では、家庭で楽しく過ごした話をしたり、嬉しそうにひさしぶりにあった友だちを遊びに誘い合う姿がみられました。乳児クラスでは、登園時に保護者の方と離れるのが寂しくて涙する姿もみられましたが、保育者に気持ちを受け止めてもらうと、自分から遊びへと向かっていく姿がみられました。
 進級、入園して1ヵ月が経ち、少しずつ成長している姿にたくましさを感じます。
 子どものにぎやかな声が広がるなか、幼児クラスでは育てていたカブトムシの幼虫に異変がおこりました。土の中にいたはずの幼虫が土の上にあがり、動かなくなっていたのです。「どうしてだろう。」「光がなかったからじゃない。」「水がなかったからかな。」「かわいそう。」「生き返るのをまったらいいんじゃない。」等、子どもから色々な声があがり、相談した結果、翌日みんなで土に埋めることになりました。
近くの公園について「どこに埋めてあげようか。」と相談すると、「小さい子が掘らないところがいいよ。」と提案した子どもが中心になり、公園の隅にシャベルで深く穴を掘りそっと土をかけました。すると、4匹のうち1匹だけが動き出し、子どもたちは驚いたり喜んだりしながらその1匹を大切に持ち帰ってきました。園に戻った子どもに「幼虫どうしたの。」と尋ねると、口々に公園でのエピソードを話してくれました。
 保育園の飼育栽培では、間近で見たりお世話することを通して、興味や関心を深め、育てているものに親しみをもち、その成長や収穫を喜び感謝することを共にしています。時には、その過程において残念な状況に接することもありますが、「生命」にふれる大切な機会として子どもが感じた様々な思いに丁寧に寄り添いながら保育をおこなっています。
大人にとっては「失敗」だと感じることも、子どもには大切な経験です。「失敗」をさせないようにすることや失敗がなかったようにみせてしまうのではなく、残念な経験が次への糧になることを伝えていきたいと思います。
 今月は子どもと夏野菜の栽培を始めます。その成長と収穫を通して子どもが何を感じていくのかゆったりとその声に耳を傾ける保育に努めていきたいと願います。

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