発信する力と他者との関わり
保育室に囲まれた職員室には、日々子どもたちが保育者や友だちと楽しくやりとりする声と共に様々な声が聞こえてきます。
0歳児は泣くことにより自分の欲求を伝え、それに応じる保育者の語りかけや歌声が聞こえると次第に泣き声がとまります。自己主張が活発になってきた2歳児は、覚えたばかりの言葉を用いて全身で自分の思いを通そうとします。友だち同士で思いがぶつかりあったときに生じる3歳児のはげしい自己主張は、その場にいなくても熱量が伝わってきます。それぞれの声に耳を傾けているとしっかり他者に応答しようとする子どもたちの「発信力」を感じます。
声の強弱やトーン、言葉での表現などその方法は様々ですが、子ども自身が発信することにより他者との関係性がさらに深まり、そのなかで思いが通らない葛藤を感じたり、それを誰かに受け止めてもらえる経験を重ねることで他者への信頼感を育み葛藤を乗り越える力を養っています。
私たち大人の役割は、子どもからの発信を阻むことなく受けとめ、受け入れられることとそうでないことをはっきりと伝えつつも、伝えたい気持ちに丁寧に寄り添っていくことだと感じます。